ShuheiTakahashi

愛にイナズマのShuheiTakahashiのレビュー・感想・評価

愛にイナズマ(2023年製作の映画)
5.0
また一つ、大好きな映画が増えました。
愛と夢と家族!
そして嘘と挫折と醜さ!
人間がよく描かれた映画でした。

怒りと殺る気に満ち溢れると同時に愛と幸せに救われました。

陳腐だろうが綺麗事だろうが、それでもそんなものに救われたりもする。
ハグすることに理由なんかいらない。
存在の確認!
これはそれができる相手がいるから身に沁みるけれど、家族やパートナーもいない人にとっては辛いものがあるかもとも思った。

意味とか理由とか当たり前とか普通とか関係ないわ!
くそくらえよ!
理不尽には怒りを。
ナメたやつは殴りに行こうか。

突拍子もないことしたくなりますよね。
ありえないことなんてたくさんある。

常識ですよ、業界のルール、当たり前、今までの全部嘘だから、私に言われても、上の人と話して、決まりなので、洒落がわからないやつだな、若いから?
世の中のムカつくこと詰めに詰めても、観たあとはなんだか解放感がある。
それはそんなムカつく事柄なんかでは揺るがないものを見つけられたから。

全体的に笑えるところが多く、好きな台詞がたくさん。
3きょうだいの掛け合いは見事。
というかこの家族が個人的に好きすぎる役者陣。
長男池松壮亮で次男若葉竜也、長女が松岡茉優で父親が佐藤浩市って、完璧な布陣すぎる。
それで松岡茉優と恋に落ちた空気読めない人が窪田正孝なのも最高。
アベノマスクの存在はこのキャラクターの為にあったのか。
コロナ茶番とかマスクの意味のなさすらも昇華された気がした。

益岡徹が良すぎて、凄かった。
あの数台詞で人生の厚みが伝わる。

北村有起哉の笑顔も大好き。
高良健吾の睨み顔も。
池松壮亮の通る声によるツッコミに。
電話越しの鶴見辰吾の哀しさ。
仲野太賀の精一杯の笑顔。
若葉竜也の泣き笑い。
佐藤浩市の強がり。
そして何より松岡茉優の口の悪い役が大好き。

全部なかったことにはならないし、カットなんかできない。
やってきたこと、見てきたものは忘れたとしても消えない。
ずっと残っている。
見えなくなったとしても、どれだけ隠していようと、決して消えない。
ろうそくの炎は消えるけど、その炎に照らされたことは消えない。
雨も雷も止むけれど、その痕跡は残る。
死んでいなくなっても、思い出せる。
忘れたこともたくさんあるけれど、全部忘れたとしても、なかったことにはならない。
お酒飲んで忘れたとしても、スマホのムービーに残ってたり。

嘘と本当。
演技と素。
欺瞞的だろうが、私は救われました。
殺る気に満ち溢れています。
負けてたまるか。
意地でも諦めませんよ、私は。
ShuheiTakahashi

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