Laura

タイタニックのLauraのレビュー・感想・評価

タイタニック(1997年製作の映画)
4.0
小学生の頃ロードショーで観たけど子供すぎた。つい最近Huluで再見。地上波放映でも話題になっている。

デミルの『十戒』(1923)以来、ハリウッド映画には火や水を使ったスペクタクルの長い伝統がある。災害に負けずに生きてゆく強い女主人公の姿は『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラを思わせるし、そもそもタイタニック沈没は歴史上の出来事でもあって、これも風と共に去りぬが製作時からちょうど80年近く前の南北戦争をテーマにしていることと同じ構図だ。

タイタニックものちの映画史でハリウッド黄金期の正統派歴史的スペクタクルの最後に位置づけられたりするのだろうか。しかし大人になって見るとメロドラマの展開よりも沈没の情景の方が重い。楽団が演奏する賛美歌の中でそれぞれの立場を全うしようとする船員たち。中でも主人公の相棒ファブリツィオは、ロープを切るためのナイフをくれと叫ぶ船員に対して、すぐにポケットからナイフを出して手助けする。ポケットにいつもナイフが入っているような殺伐とした生き方をしてきたのに、最後に救命ボートのロープを切るためにそれを使うのだ。メロドラマの部分とは異なるリアルなディテールが、映画全体に緊張感をもたらしている。

あんなに怖い事故に遭ったのに、ローズの魂は懐かしい人たちに会うためにタイタニック号に還ってしまう。これもメロドラマにふさわしい閉じられ方ではあるのだけど、客船とそこで亡くなった人々に対するキャメロンの思いも感じる。
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