ShinMakita

ペナルティループのShinMakitaのネタバレレビュー・内容・結末

ペナルティループ(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

☆俺基準スコア:2.2
☆Filmarks基準スコア:3.4



6月6日。いつものように水耕栽培工場に出勤した岩森くんは、職場の電気修理人・溝口がやってくるのを待つ。彼が休憩中に飲むコーヒーに毒を仕込み、弱ったところに襲いかかりナイフで殺害するのだ。溝口は、岩森くんの恋人・唯を殺した男なのだ。
…この一連の流れを、岩森くんは何度も繰り返している。溝口の死体を捨てて午前0時を迎えると、また6月6日の朝が始まるのだ。



「ペナルティループ」



以下、今日の花はネタバレ。花言葉は希望、です。

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若葉竜也主演、監督脚本は「人数の町」の荒木伸二。「抜け出せない世界モノ」と言えばよいのか、前作と少し似たテイストで、主人公はやはり前作同様低体温な感じの青年。ランティモスっぽいシュールさがあるので、凄い予算貰ったらとんでもない映画を作りそうな予感がします。

被害者遺族vs加害者という「仇討ち復讐映画」というのは無数にあるけど、非アクション非サスペンスなドラマの場合、結局は「復讐は虚しい」と「相手を赦す」いう結論に着地するのが定番。ペン兄貴の「クロッシングガード」が俺的ベストで、邦画なら「その夜の侍」をまず思い浮かべます。本作はその系統に「恋はデジャブ」をくっつけた感じかなと思ったんですが、ちょっと捻ってきましたね。ラストがちょっと不思議なんですよ。ゴールが「復讐完遂」とか「赦し」ではなく、「現実世界への帰還」というのが新しい。そもそも復讐がテーマじゃなく、喪失感からくる心の足踏み状態から脱却すること、が主題だったのかなと。復讐の色をしたVW〈ポロ〉に乗った主人公が事故った果てに血まみれで笑ったのは、復讐心を捨て、リアルな痛みを得て現実世界を実感したからなのかなと思います。溝口を悪人として描かず、あくまで唯を殺したシステムの駒の一つとして描いたのが秀逸。で、この溝口を悪人ルックスな伊勢谷氏が演じたのがまたミスディレクションで良かったな。
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