MasaichiYaguchi

さよならエリュマントスのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

さよならエリュマントス(2023年製作の映画)
3.6
「ミスマガジン2022」受賞者の6人が主演を務めたオリジナル作品で、解散寸前のやさぐれたチアリーダーチームと問題ありのマネージャーが巻き起こす騒動を描いた本作は、今の社会を反映した作品世界観ながら、エリュマントスのメンバーである彼女たちが躍動し、その負の雰囲気を吹き飛ばしているように見えた。
元々は甲府の社会人野球チーム「エリュマントス」のチアリーダーだったココ、ユナ、ミズキ、リナ、スズ、サラの6人は、マネージャーの穴倉に連れられて地方の催事場などでのイベントに出演し、ドサまわりを続けている。
最底辺の地下アイドルのような活動をさせれられているメンバーたちと穴倉との喧嘩は絶えず、両者の溝は深まる一方。
そんな或る日、とあるイベントに参加するために山梨の温泉街にたどり着いた一同は、穴倉の不用意な発言からトラブルに巻き込まれ、予想外の方向に展開していく。
新型コロナが5類感染症へ変更され、以前の日常が戻りつつあるとはいえ、長引くロシアのウクライナ侵攻、それに伴う様々な物価上昇、異常気象による大規模な自然災害と、未々社会は不安定で、時流に乗れない人々もいる。
そんな負の連鎖の中で、人々にエールを送るチアリーダーたちの奮闘を描く異色の青春映画は、一服の清涼剤かもしれない。