モモモ

乱れるのモモモのレビュー・感想・評価

乱れる(1964年製作の映画)
4.3
いやいや…ちょっと度肝抜かれちゃったな…。
時代は60年代に移ろい、街の景観も活気も変わり、既に古きが廃れていく時代。
そんな「廃れ行く」商店の放蕩息子と義理の姉。
「姉弟」物かぁ!これは成瀬作品でも珍しい作品なのか…?なんて思いは中盤で直ぐに消えて、物語はやはり恋愛を孕んだ「男女」の情愛物語に。
今までの成瀬作品ダメ男達に比べたら本作の加山雄三はよっぽどナイスガイで。
それよりも古典的とも言える(まあ60年前の作品にこの表現はどうかと思うが)姉達の方がよっぽどダメな人間で。
みんなが幸福にはならないのだろうと最初から予兆はあったのだが、まさか全ての登場人物が誰も幸福にならない結末を迎えるとは。
「女王陛下の007」と同じ衝撃…同じ鑑賞後のシコり…むしろ本作に007が影響を受けたのだろうか。まだまだ自分の映画に対する知識が浅いのだな…語り継がれる古典をもっと探究したいと強く思える作品だ。
「頬を齧った」「酒屋にも向いてねえや」と小粋な会話劇に笑っていたのに、男はつらいよ」の寅屋と同じ建築構造だなぁ…なんて呑気にしていたのに、物語は絶望のクローズアップで幕を閉じる。
「何を間違えてしまったのか」を悔やみ続けるその後の人生を予期させる、その表情が忘れられない。
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