64年成瀬監督作品。
戦中~戦後に幅広い作品を制作した監督。脚本筋立てから、撮影技法、テーマの分かりやすさ等良質な大衆娯楽映画を、量産した職人技が解る。素直に作品観に入る事が出来た。
・高度経済成長期の入口→スーパーマーケット進出し地元商店街を脅かす当時の社会問題(今の時代のGAFA進出弊害と何ら変わらない)
・戦争未亡人?→戦後の女性の行き方を問う。
・禁断の恋→当時の道徳観からunmoalで生じる人間の理性との葛藤を品よく描く。ここら辺は東宝作品らしい。
⭐戦後新しい生き方を体現する加山雄三が、小気味よく自由にズバズバ言いたいことをイイ、意見を通す。有る意味観客目線のRealな行動力だ。
しかし、この兄嫁と不貞の恋も東宝らしく品よくさりげなく描かれる。
結末は、余りにも唐突でRealの正義倫理観が何処まで納得感を得られのか?観客に投げて終る。
⭐私がもう一つ着目したのは、斜陽である個人経営店をスーパー発展的会社組織に仕立て治そうとしたとき、この家族が、じつは今まで各々思惑で緩く構成され平和が保てられていて、そこでいろいろな人生の悲哀を享受して何とかここまで生活してきたのだ。
しかし、時代の流れに圧され1度外圧がかかる事で、その緩い共同体が壊れ、問題の所在を明確にされず、やり過ごされていく。まさしく、日本の文化をまざまざと感じさせられた。
これは日本人の体質なんだと納得せざる終えなかった。