アニローズ

四月になれば彼女はのアニローズのレビュー・感想・評価

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
4.4
実力派俳優と人気若手女優を配し、流行りのミュージシャンが主題歌を担当して、ヒロインが亡くなる…という東宝が20年ほど前にヒット作を連発した時代の作品を観るようだった。
これが懐かしさもあり、メチャクチャ良かった。

「愛を失わない方法は?」
の答えとそのアンチテーゼが作品の核だが、本作を魅力あるものにしたのは森七菜と仲野太賀の存在だ。
森のウユニ塩湖のシーンは妙に眉毛が太くデビュー当時の宇多田ヒカルを見るようでずっこけたし、長澤まさみと近い年齢という設定で2人が並んだ際は明らかにミスマッチだった。一方で、彼女の控えめで悲壮感漂う雰囲気とナレーションが本作に合致して、作品全体の世界観を構築させた。これだけでキャスティングとしては大成功かと感じる。
仲野は画面に登場しただけで期待を抱かせる役者。今回も出演回数の割に脳裏に残る演技を披露し、主人公の感情を引き出すことに成功している。それを出過ぎない演技で行うのがイイんだよなぁ。

最後の藤井風の歌も好き。

愛を続ける努力を怠ったシーンの描き方が薄いため、なぜ弥生(長澤まさみ)が失踪したのか理解し難いなどの問題点はある。
が、個人的に全体の雰囲気、テンポ、映像美などが好みでかなり好きな作品。