樺太柳葉魚

裸足になっての樺太柳葉魚のネタバレレビュー・内容・結末

裸足になって(2022年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

アルジェリアは治安が悪そうな国だな、と漠然と思っていたのですが、改めて調べたら「用も無いのに行くな」「とにかく行くな」という書き込みが多く、理由としてはやはり「治安が悪い」「テロが横行している」そんな国で生きていかねばならないのって相当しんどそう。主人公フーリアの親友であるソニアは祖国にうんざりし、スペイン行きを熱望している。日本人から見ればスペインも何だか治安悪そうなんだけど、そんな事を言ったら日本以外はどこも治安悪そう。でもアルジェリア人から見たスペインは希望に満ち溢れているんだろうね。シンドバッドの話が大好きで、フーリアが暴漢に襲われて声を失った後もずっと支えになっていたソニア。とうとう仲介者を見つけてスペインへ行く事に。フーリアの制止を振り切ってもゴムボートに乗り込む。って、そんなボートでスペインまで行くの?位置関係がよく分からなくて、映画を観終えた後調べたら、確かに対岸なんだけど。簡単にひっくり返りそうなボートで?そんなに近いの?大丈夫?と心配してたら、案の定、ソニアの溺死体が引き揚げられるという最悪の結末。どうしてそうなったか説明は無かったのですが、ボートが転覆して?それとも仲介者に突き落とされた?嫌だな。あの仲介者、金だけ受け取って連れてく気無かったんじゃ?それとも警察に発見されて慌てて逃げようとしてひっくり返った?色々想像するけど、要はアルジェリアで生きていくのも辛いけど、他国へ行くのも危険だということ。逃げ場の無い国。暴漢に襲われ、そいつの顔も名前も分かっているのに、警察は何もしてくれない。フーリアと母親がダンサーだからという理由で不当な差別を受ける。なんて酷い警官達だろう。私がDEATH NOTEの所有者だったら躊躇無く名前を書いてやるのに。警察が当てにならない。弁護士も弱腰。そんな国でフーリアは気丈に生きていく。声を出せなくてもダンスで自分の感情を表現する。社会の片隅で生きる者達の力強さを描いた作品でした。
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