inazuma

グランツーリスモのinazumaのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.3
IMAXレーザーにて極上のひととき✴
レースシーンの度に鳥肌&ビリビリに襲われた!⚡

まさかの実話もの!鑑賞直前まで知らなんだ。。
ドライビングゲーム「グランツーリスモ」のプレイヤーを本物のカーレースへ出場させるという狂気のプロジェクトが現実に存在したことにまず驚愕。日産、やっちゃってますねー。実話と知ると見方が大きく変わって、夢が広がると同時に現実世界がちょっとずつ狂っていってることを肌で感じ取ることがてきたし、何より「こんなにスイスイとプロの階段を上がれるもんか~?」と思っちゃうご都合主義的展開も、いくらはしょってるとはいえ実際にあったことなんだから、最後まで冷めることなく楽しむことができました。何気にいちばん驚愕だったのは「ル・マン」のレース内容ですが。。

監督がニール・ブロムカンプ。本作は「大バジェットの奇跡の実話超大作」であることから監督の作家性が顕れることはないのかなと思ってましたが、「負け組の世界」と「勝ち組の世界」が入り交じるという物語はブロムカンプならではかなと思ったり。彼の作品は『第9地区』と『エリジウム』しか観てませんがどちらも傑作で、『第9地区』ではマジョリティ(人間)がマイノリティ(地球難民となった宇宙人)に入り込み、マイノリティの立場となることで両者の心が通うことを描いてました。かたや『エリジウム』では貧困層が富裕層へ入り込み、すべての人々に富裕層と同じ権利を与え平等とすることを描いてました。そして『グランツーリスモ』では素人が玄人の世界に入り込み、玄人として世界に認められることを描いていました。ブロムカンプがソニーにディストピアSFの映画企画を持ち込んだ結果「グランツーリスモ映画化」依頼を逆にもらったって話も、きっと彼の世界観とマッチしたからなのかな。
なんならブロムカンプ常連俳優のシャールト・コプリーにも出てほしかった!

この作品で一番の収穫はやはりデヴィッド・ハーバー!いやー好きすぎるぞこのオッサン!ちょっと目元がジャック・ニコルソンを思い出させるもので(個人の感想)、怒らせたら殺されそうな印象を受けますが、実は超優しい男。人柄から面白いセリフがより面白く聞こえる。「朗報だ。誰も期待してないから気楽にやれ」とか最高でした。
主演のヤンはどっかで見たことある顔と思ってたら、『ミッドサマー』で壮絶かつ豪快な最期を遂げたサイモンやないか笑!今回こんな良い役を好演してて、なんか安心した。
グランツーリスモ製作者の山内氏の役はいつものパターンだとケン・ワタナベが起用されそうなのが、まさかの平岳大。『悪の教典』の変態教師のイメージしかなかったのですが、本作では寡黙だが顔面に説得力を持たせ、存在感を引き立たせててとても上手くて良かった。

4DXでもみてみたい!
inazuma

inazuma