げんたろう

瞳をとじてのげんたろうのネタバレレビュー・内容・結末

瞳をとじて(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

とにかく顔がよく映る。
最近読んだ小説『人類の最奥に秘められた記憶』でも、謎の男がガルデルのタンゴを口づさんでいた。なんという偶然。

いやはや、劇中劇も含めて、さすがに前半の会話劇は、長いって。冗長とは、このことか、と思うほどに。でも、映画館という箱の中に3時間座ってこの映画を観た後には、素晴らしい恍惚というかなんいうかよくわからない感情が湧き出てくるんですよ。いや、さすがに、前半は長いよ。

昔の恋人が「思い出のあの曲」を間違えちゃうところとか、妊婦さんが立ち去った後にタバコを吸い始めるところとか、1番大事な電話が海上にいる時にかかってきちゃうところとか、本当に最高だったなぁ。

宮崎駿は『君たちはどう生きるか』を作り、村上春樹は『街と、その不確かな壁』を書いたが、エリセも極めて個人的な、集大成の、走馬灯を私たちに届けてくれた。
みんなありがとう。

あと、パンフレットの五所純子さんの文章が、とても素敵だった。悲しみの王よ、チェックメイトだ!
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