Uえい

瞳をとじてのUえいのネタバレレビュー・内容・結末

瞳をとじて(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

待ちに待ったエリセ監督の最新作。3時間近い上映時間だったが一瞬だった。そして、監督のフィルモグラフィーや背後にあるスペインの歴史などが一瞬で吹き抜けていった感覚だった。「バビロン」の最後で映画を通して映画史を感じた主人公マニーのよう。😌🙋‍♂️

今は引退して作家として細々と活動する映画監督ミゲルが主人公で、前半は失踪した俳優フリオを探す様子がミステリー調で描かれる。ミゲルはフリオを主役しにした映画「別れのまなざし」を撮影中にいなくなってしまったのだ。それから22年(2013年)、失踪の謎に迫るドキュメンタリー番組への出演がきっかけになり、かつての友人たちに会いにいく。

未完の映画というのは「エル・スール」を連想してしまう。父の過去を探るという点は、友人の過去を探る本作とも通じるプロットだ。

後半は、番組の視聴者の情報から、フリオが老人ホームで働いていることがわかる。確かに本人だが、全く記憶がなくなってしまっていた。娘アナ(アナ・トレントが演じる!)も覚えておらず行き詰ってしまう。そして、最後の望みとして、最後に撮影していた映画のパイロット版の上映会を開くのだった。

アナが父がいる部屋に行き、「私がアナよ」と言った時の帰ってきた感が半端ない。そして、最後の上映会が素晴らしすぎた。「ミツバチのささやき」で「フランケンシュタイン」を見るシーンが最後に据えられ、あの頃と変わらないアナの眼差しがもう一度見れるなんて!

自分の過去作をオマージュしつつ、映画の撮影や、映画の価値についての映画をこんなに美しく撮りきってしまうなんて凄すぎる。スワンソングと言われてしまっているけど、もう1作品くらい作ってくれないかなあ。
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