千年女優

湖の女たちの千年女優のレビュー・感想・評価

湖の女たち(2023年製作の映画)
2.5
琵琶湖近くの介護施設で起こった百歳の老人殺人事件を担当する若手刑事で、署と上司の宇佐美からの指示で施設職員の松本を執拗に追い詰める濱中圭介。出産を控えた妻を実家に帰して同じ施設職員の豊田を性的に支配する彼が、かつて署が担当した薬害事件や大戦時の人体実験を背景とした事件に翻弄される様を描いたサスペンス映画です。

芸能一家に育って多くの文芸作品の映画化を手掛ける大森立嗣が、かつて真木よう子の主演で制作した『さよなら渓谷』と同じく芥川賞作家である吉田修一の同名小説を原作とした作品で、怪しい関係を結ぶこととなる主人公格の男女を福士蒼汰と松本まりかが演じ、浅野忠信や財前直見、平田満、三田佳子らが物語のキーマンとして支えます。

吉田作品では多く採用される地方都市を舞台に日本の暗部を背負わされた登場人物をめぐるサスペンスで、「指示に従う」ことの安直さを多層的に描こうとするもあまりの風呂敷の広さが手に余っていて要素を消化しきれないまま強引に展開します。その上に演技と演出も大仰さマシマシではカロリーオーバーが深刻で、胃もたれする一作です。
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