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湖の女たちのnomoreのレビュー・感想・評価

湖の女たち(2023年製作の映画)
3.7
「書けない、書かない、書きたくない!」

『九十歳。何がめでたい』の予告ではない。
この映画のレビューのことだ。

困った。
書けない。
何と書けばよいのやら...

この曖昧模糊とした心情をどう言語化したらよいのか。

得体のしれない嫌悪感が自身の中に漂い、レビューを書きたくないという気持ちにまでさせる作品だ。

いっそレビューを書かないか。
そんなことまで考えてしまった。

介護療養施設で起こった老人の不審死事件

ミステリーやサスペンスを予想して観ると、肩透かしを食らってしまう。

二人の刑事
施設職員
事件を追う雑誌記者
薬害事件と731部隊
刑事と施設職員のインモラルな性愛

湖畔で起こる出来事は何一つ解決していない。
とっちらかったまま放置される。
解決しようとしても、大きな力で押さえつけられ、蓋をされてしまう。

関わる者たちは挫折感を味わい、深く傷つけられる。
そして正常には戻れなくなってしまう。
ある種倒錯した世界で生きていかなくては、自らを平常でいられなくしてしまう。

もしかしたらこの作品は、そうした人々を描こうとしていたのだろうか。

この世はままならない。
だが、壊れてしまっても生きていかなくてはならない。

湖畔で起こる出来事。
巻き込まれる人々。

その一切合切を湖は静かに、時に波風を立てながら見つめている。
朝も夜も。
そのすべてを飲み込んで。
時に湖底に引き摺り込んで。



余談
当然このレビューもとっちらかったまま。

松本まりかと福士蒼汰の体当たり演技。
ハラスメント刑事・浅野忠信の過去の慟哭。
福地桃子が癒しの存在(役柄ではなく)。
三田佳子の存在感よ。

観終わったその足で原作文庫本を買いに行く。
ポカン脳を補完せねば。
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