べるまちゃん

ローマの休日 4K レストア版のべるまちゃんのレビュー・感想・評価

5.0
観たのは9月半ば。大手で軒並み上映が終わっていたので、20年ぶりくらいにチネチッタに駆け込みました。
そうかー……確かに切ないロマンティックコメディといえばそのとおりなんだけど、この作品の本質はそこではなくて、人と人との真実の友情、そしてままならない人生を「自分で選んで」生きていく、ほろ苦いけれど美しい人間の有り様が、どうしようもなく心を打つんだな。

ままならない人生。けれども自分で揺るがぬ(少なくとも、その瞬間は)決意をして、与えられた役割を自ら全うするべく、生きていく。その選択に泣かされる。たった1日弱の恋と冒険で、決断できるまで成長をとげたアン王女があまりにも健気でもう涙が止まらなかった。しかも、生きていくってこんな感じの連続なんだよなとあまりにも思い当たる節が多すぎて、生きていくことの儚さと人の強さと脆さと全部ひっくるめてのいとおしさに思いを馳せて、おんおん泣いた。

終盤以降、グレゴリー・ペックの視線があまりにも優しくて、これが愛でなくてなんなのかと思いました……名優とはこういうことか……。

リアルではオードリーとグレゴリーの友情は生涯続いたというのも改めて頷ける。ひとつの作品で永遠の友愛が生まれるのも古き良きハリウッド黄金期といったところ。やっぱりこの映画は私の生涯ベストワンだ。