加藤拓也の長編監督作品2作目。昼にシアタートラムで加藤拓也作・演出の舞台『いつぞやは』を観劇してからの鑑賞、本作と根幹を同じくする舞台『綿子はもつれる』も観劇済み。加藤拓也の作品には、人間臭さ/生々しさに満ちた怒号が飛び交う地獄絵図をつい期待してしまうのだが、本作にはそれが殆ど無く、ただそれでもジワジワと首を締め付けられるような居心地の悪さは一切失われていなくて良かった。現実から目を逸らしつづける綿子の人生の糸が少しずつほつれてゆく様があまりにリアルで居た堪れない気持ちになりつつ、レンタカーで前へ走り出すラストには、ほつれてしまった糸はまた少しずつ結び直していけばいいのだという希望を感じた。