閉鎖的な礼拝堂で厳かに執り行われてゆくコンクラーベ(教皇選挙)、次期教皇の座を巡って繰り広げられる枢機卿らの欲に塗れた争いは、あまりに人間臭く滑稽で虚しい、ラストはあまりの衝撃に息を呑んだ。
容姿/才能に恵まれつつも恋人/職を気まぐれに手放してゆくユリヤ、奔放な彼女の生き方には共感こそできないが理解はできる、移り気な性格を自覚しているだけ偉いと思う。別に面白かったが別に大して得られるものも>>続きを読む
直前に『オズの魔法使(1939)』を観ただけで一切の粗筋を知らずに観てしまったのだが、こんなにも切なく残酷な物語だったとは……。心優しく聡明な少女が何故民衆からあれほどまでに憎まれる魔女になってしまっ>>続きを読む
『ウィキッド〜』の予習として(絶対に観た方が良い)。ジュディ・ガーランドはとても可憐で魅力的だが、撮影現場の数々の逸話を考えるとなかなか複雑な気持ちになる。世界が色づくあの演出はズルい。
アウシュビッツ収容所の隣の邸宅で暮らす一家のきわめて幸福な生活と、隣の収容所から確かに聞こえてくる銃声/悲鳴/怒声、はじめは大きな嫌悪感を抱いていたはずが、時間が経つにつれてそれが鈍化してゆく感覚を体>>続きを読む
ひ弱で内気な少年と偏屈で頑固な爺さん、互いが互いをささやかながらも救い合ってゆく過程に確かに胸を打たれつつも若干の物足りなさを感じていたところ、ラストの展開に心をズタズタにやられてしまった。爺さんが正>>続きを読む
キューバ危機や公民権運動など激動の60年代アメリカにおいて、名もなき若者がいかにしてスターダムを駆け上がりまた自由を獲得していったのか、正直ボブ・ディランについてはそこまで明るくないが、彼の天才が故の>>続きを読む
3人の少年を襲った誘拐事件が彼等のその後の人生に影を落とす、もしあの時車に乗ったのが自分だったら/自分じゃなかったら…。サスペンスとヒューマンドラマのバランスが丁度良くとても観やすい、本当にイーストウ>>続きを読む
想像を絶するほどに過酷で痛ましい人生、産まれた場所が違うだけで、というのは恵まれた環境に居る人間の戯言でしかないのだろう、人物を特定されないためにアニメーションで制作されているというのも、いつまでもど>>続きを読む
出逢いがあれば当然別れもやってくるわけで、切なくもあくまで前向きなドラゴン(トゥース)との別離を描いた、シリーズのラストに相応しい三作目。美しい三部作だった。そしてとにかくアニメーションの進歩が凄まじ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
死んだと思っていた母との奇跡の再会だか何だか知らないが、仲間が命懸けで闘っている時にのんびりしすぎでイライラしてしまった、前作からの時の進みを「髭」で描いているのには膝を打った。
落ちこぼれ少年の成長譚、ドラゴンとの冒険活劇として申し分ない仕上がり、トゥースがとにかく可愛い。テーマが異種の共存、という意味では先に観た『あの夏のルカ』と近しいところもあるが、こちらの方がピクサーに>>続きを読む
イタリアが舞台のアニメって新鮮な気がして良かった。世界の分断と和解、というテーマも突き詰めればかなり重苦しいものだと思うが、ピクサーらしくあくまでポップな仕上がりになっているのも○。
無人島に漂着したアシスト・ロボットが雁のひな鳥やその他島の動物たちとの交流を通して絆を深めていくお話。プログラムを超越してロボットに心が芽生えたり、渡り鳥である雁との別離と再会だったり、いつもはいがみ>>続きを読む
黒人を差別する白人、白人を憎悪する黒人、差別に加担する黒人、命懸けで人を救う差別主義者、人種差別が蔓延る世界に生きる人々の交差を描いた群像劇。悪人が善いことをすることもあれば善人が悪いことをすることも>>続きを読む
「魔法のようなマジック」で完全犯罪を遂行するのかと思いきや、視覚効果バリバリの「魔法」にしか見えないトリックばかりでまったくノれなかった、開始1分のジェシー・アイゼンバーグのマジックが一番テンション上>>続きを読む
全編を支配する陰鬱とした空気、緻密で洗練された色彩と構図、カイル・クーパーのオープニング(NIN)、びしょ濡れのブラピとレザーコート、モーガン・フリーマンの諦観と哀愁、箱の中身を見せない心意気、逆さま>>続きを読む
冴えないナード二人と宇宙人ポールの逃避行、3人(?)のキャラクターがとても愛おしく魅力的、映画愛に溢れたオマージュもたくさんあって楽しい。
「スリー・フレーバー・コルネット3部作」3作目。
3部作のなかでは比較的評価が芳しくないようだが個人的にはかなり好き。SFホラーとコメディのどちらにも振り切れない、どっちつかずで無秩序な雰囲気が良い味>>続きを読む
「スリー・フレーバー・コルネット3部作」2作目。
平穏で退屈な田舎町で起きた殺人事件を捜査する生真面目なサイモン・ペッグ&能天気なニック・フロスト、どこまでも弛みきった雰囲気のなか明らかになる真相が思>>続きを読む
エドガー・ライト×サイモン・ペッグ×ニック・フロスト、所謂「スリー・フレーバー・コルネット3部作」の1作目。
ゾンビがかつてないほど弱くてオモロい、オチも中々新鮮で良かった。エドガー・ライトの近作より>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
映画としてはシリーズ3作目にあたる『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』の舞台裏を捉えたドキュメンタリー。シリーズが始まった経緯にも触れられていて嬉しい。池松壮亮演じるキャラクターが、「ちさとに出会え>>続きを読む
このシリーズはいつもキャラクターの造形がとても秀逸だと思う、ぶっ飛んでいながらもしっかりキャッチーで、且つどこかリアルな人間味も感じさせる、本当に絶妙なバランス感覚だと思う。そしてそんな中でも一番魅力>>続きを読む
『ONE PIECE』さながら「三つ星シェフにわたしはなる」との宣言から始まり、最強の仲間を集めて無事三つ星を獲得した連ドラとほぼ同じことをやっている本作(舞台をパリに移しただけ)、面白いものと同じこ>>続きを読む
あまりに若くて青くて痛々しい、好きなものがあれば人に迷惑をかけて良いわけでは無いし、人を傷つけて良いわけでも無い。取り返しのつかないほど膨れ上がった少年(クソガキ)の自意識が、周りの大人の存在によって>>続きを読む
一切のセリフを排し、動物/無機物を描いたアニメーションだが、ありとあらゆる有機的な感情がひしひしと伝わってきた。暫くは『September』を聴いたら泣いてしまいそう。とても良かったが、ちと長かった。
ご無沙汰&あけおめです。
この2ヶ月ほどバタバタしていて全然映画が観られていませんでした、少し落ち着いたのでまたゆるりと映画楽しんでいきたいと思います。今年もよろしくお願いします。
観たのは2ヶ月前>>続きを読む
記録漏れてた。
特に琴線に触れる瞬間などもなく、淡い色彩の”エモい”映像を眺めていたら終わってしまった感覚、学生たちの初々しさ/瑞々しさはリアルで眩しくて良かった。河合優実も良いが小野莉奈も良い。
『デッドプール』的な小ネタギャグのオンパレードで少々しんどかった、スタントへのリスペクトはしっかり感じられて良かった。
ルカ・グァダニーノ×ZARAのショートフィルム。クリスマスシーズンのリゾートホテルを舞台にしたドタバタラブコメディ(?)、特に内容は無いがほっこり。サンタの投げ銭クレカなの笑った。
人喰い描写のインパクトが強すぎて現実離れしたお話のように感じるが、社会の「普通」から外れた人間が葛藤し生き方を模索していく、主題自体はとても普遍的なものだったと思う。「警察無能すぎでは?」という突っ込>>続きを読む
アメリカ史上最悪の処方箋とも呼ばれるオピオイドを販売し、中毒により50万人以上の命を奪ったサックラー家に対し抗議活動を行う写真家ナン・ゴールディン。多くの死や痛みに触れてきた彼女の半生を丁寧に振り返る>>続きを読む
平和の壁に分断された北アイルランド・ベルファスト、現在は紛争は終結しているが、それでも「友だちとは?」の問いにすぐ「殺し合わずに〜」というフレーズが出てくることの生々しさにかなり食らってしまった。そん>>続きを読む
シャマラン大好き上司に勧められて観た、何を言ってもネタバレになりそうだが、Netflix『ダーク』が好きな人は観れば良いと思う。面白かった。