タイトルの通り、何か止めていたものがほつれる感じが良くわかった。経済力はありそうだけど、何となく感じの悪いバツイチの夫。綿子は夫の不倫に気づいていて、ある意味それを理由に不倫をする。そんな不倫旅行の帰りに、不倫相手の木村は事故で死んでしまう。不倫には不倫でバランスをとっていた気持ちにどこかほころびが出た。不倫相手だけに表立って何かできるわけではない。でも、木村を失ってしまったことは大きい。ましてや自分の目の前で。あの時すぐに救急車を呼べば助かったかもしれないのに、世間を気にして見捨ててしまった。そんな時、夫が何事もなかったように言い寄ってくる。自分の不倫を棚に上げて、いやらしい感じで言い寄ってくる。そんな時、やっぱり不倫相手だった木村が恋しくなる。おそらく木村との間には恋愛というより、普通のコミュニケーションがあったのだと思う。何よりそれを失ってしまったのが大きい。自分の気持ちが壊れていく。そう、何かがほつれていくように壊れていく。ただ、何かを吐き出した後、また違う展開も感じさせる作品。思った通りに切なくなりました。
