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パラダイスの夕暮れのBOBのレビュー・感想・評価

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)
3.8
フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ監督による"労働者三部作"の1作目。

ヘルシンキ。ゴミ収集人の男が、スーパーのレジ係の女と恋に落ちる。

「傷付けられても短所があっても愛していればすべてが楽しみのうちだ。おかしいものだ。非常におかしい。おかしくて楽しい。恋ってそういうものかも。」

カウリスマキ監督作品デビュー。

労働者階級、不器用な男女の恋愛劇。二人は、金があるわけでも、容姿が優れているわけでも、人間性が素晴らしいわけでもない。だからこそ、恋愛の本質を捉えているような気がした。会話は弾まなくとも、一緒に過ごす時間・空間がなぜか心地良いってこともある。

ざらついた味気のない灰色の世界に、ジャズピアノ、ロカビリー、ブルース、フィンランド歌謡"Liljankukka"(ゆりの花)、メキシコ・ユカテカ歌謡など、どこか懐かしさを覚えるムードのある音楽が流れる。一人の夜にしっぽり観たくなる映画だ。

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