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パラダイスの夕暮れのもちのレビュー・感想・評価

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)
3.0
先日観た「不安は魂を食いつくす」がアキ・カウリスマキ監督に影響を与えたと知り、観てみることにした。
カウリスマキは労働者三部作、敗者三部作等を撮っており、社会的弱者の恋を描いた「不安は〜」に影響を受けたというのがわかる気がした。
今作は労働者三部作の第一作目であり彼の初期作品における傑作という位置にあるそうだ。
ほぼ笑わず、感情を大きく表情に出さない芝居をする俳優陣だが、ストーリーは想像以上にロマンス色が強かった。

作中、主人公のニカンデルが就いているごみ収集人は賤しい仕事とされ、見下され、高級レストランにも入れてもらえない。
けれどこのニカンデル、頼りになるし優しいし面倒見は良いし勉強熱心だしロマンチストだし…
個人的には、軽薄な小金持ちよりよっぽど素敵だと思った。高級レストランの食事よりも、好きな人と食べるスタンドの軽食やお芋の方が楽しい!

そして、忘れてはならない作中の音楽の良さ。寒々しくも美しいフィンランドの景色に心地よく響き、とても印象的だった。
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