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男はつらいよ 知床慕情のmatchypotterのレビュー・感想・評価

男はつらいよ 知床慕情(1987年製作の映画)
3.9
年明けからなかなか良いテンポで進む。
『男はつらいよ』シリーズ、第38作目、〜知床慕情〜。
個人的には過去シリーズの中でもかなり良かった作品だった。

なんと、今回はいつもの夢物語がない。
この夢物語がないのも、この後の本編も含めてなんか色々思う。

まさに“夢ばかり見ている場合ではない”。
「やめるなんて簡単なことよ」
まるで38作も続くこのシリーズのことについて言ってるような気さえしてくる。

そんな他人の厳しく険しい人生の中にずかずか入っていってその他人の悩みや暗い部分を暴いて、「それもまた人生」と悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなるような、スッと少し軽くしてくれるような。

冒頭の夢物語がないのも、だんご屋のおじさんが肺炎になっちゃってだんご屋の行く先と“後取り”の話にもなるのも。

寅さんその話聞いてすねて北海道に旅に出れば、そこで暮らす人々の地に根付いた日常、、、畜産、農業、漁業。

そこで知り合った変わり者の頑固ジジイの獣医、三船敏郎。渋くてカッコ良すぎるおっさん。
日本の銀幕大スター、さすがの貫禄。
こんな人が父親だったら恐ろしくて仕方ない。
でも、笑顔や一生懸命に働くところはすごく雰囲気がある。

マドンナ竹下景子、綺麗すぎ。少し前までパプロンのCMで日本の母親みたいに思ってた。やはり、綺麗。

絵に描いたような頑固一徹の獣医の三船敏郎と結婚に失敗して出戻ってきた娘、竹下景子、すごい親子。

そこにどこ吹く風の寅さんが微妙な親子中に。
どちらかというと、どうして良いかわからない三船敏郎が寅さんを捕まえる形で始まる〜知床慕情〜。

寅さんが緩衝材になって少し雰囲気が保たれ、寅さんもだんご屋での件を少し反省し、三船敏郎の仕事を手伝ったり。

竹下景子が寅さんの代わりにとら屋までお使いに行ったりなんやかんやとしていると、妻に先立たれた三船敏郎とよしみの近くのスナックのママの間柄を突っ込んだ寅さんに激昂して三船敏郎と寅さんが大げんか。

寅さん、いつも通り。
良くも悪くも他人の生活の、絶妙にひた隠して触れずにバランスを保ってた部分を暴く。

暴いてチャチャを入れれば摩擦は起きるが、いつまでも暴かれずに終わるのも忍びないところをハッキリさせる、、、皆は触れるな、放っておけ、の話を。

ある意味、男らしい。カッコいい。
三船敏郎の新潟へ帰ると言うママへの気持ちを伝えるシーン、なんて良いシーンなんだ。本当に感動した。

今回の寅さんはいつも以上に人様のお役に立っているというか、これまでの経験がそうさせているのか、とても朗らかに事をまとめている。

そして、いつも通りのどこ吹く風。
なんか今回の寅さんのセリフへ1つ1つ、とても沁みた。

そして、そして、なぜそこで、、、寅さん。
いや、だから寅さんなんだな。ありがとう。

いつも思うけど、夏の風景のとら屋、この演出、すごく好き。みんなが汗ばみながらうちわ片手にワイワイ活気めいて賑わう風景。これぞ、日本の古き良き風情かな。

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TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
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