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亀も空を飛ぶのmhのネタバレレビュー・内容・結末

亀も空を飛ぶ(2004年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

2003年イラク攻撃(2003年3月20日-5月1日)直前のクルド難民キャンプ(イラクとトルコの国境地帯)が舞台。
生活力のある13歳の少年サテライト(愛称)と、戦災孤児である難民の少女と出会いを中心にした物語。
中途半端な英語を駆使するサテライトの一味がとにかく魅力的。地雷の被害にあった子も多いのに悲壮感が全くない。忠実な子分みたいな子もいてめちゃかわいい。クルド人版のはだしのゲンみたい。
自衛に必要な銃は高価だから買えないけど借りることができる。掘り出した地雷で支払いをすませるとかすごい世界観。
彼らのファッションも最高なんだよね。「AKIRA」実写版って、こんな感じがいいのでは?
預言者という難民の兄の設定もすごい。戦乱で両手を失った彼ならもしかしてそんな能力も持ち得るのではと思ってしまった。
終盤にかけてヒロインの生い立ちがわかってくると、冒頭のフックが腑に落ちるようになっている。
障害のある弟を嫌っているのではなく自分の子なのだった。嫌う理由もちゃんとあって、それが過酷。
ヒロインに対してはこうあってほしいという正常化バイアスが働くものだけど、その希望的観測を粉々に破壊してくれる。
これが現実で、これが戦争なのだった。
「わが故郷の歌」も面白かったけど、これはそれ以上。
めちゃ面白かった!
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