けい

NEO PORTRAITSのけいのネタバレレビュー・内容・結末

NEO PORTRAITS(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

亡くなった人の記憶を集めた遺影(電子アンドロイド)と会話ができる、少し先の未来の “ 田舎 ” が舞台のもしかしたらあり得るかもしれない物語。

遺影と会話する様子は、タブレットでビデオ通話するのとほとんど変わらないからかあまり違和感がないから不思議な感覚になる。違うのは遺影の中の人物は、その人ではなく記憶から作られたいわば偽物なので、心はそこにはない。けれど、違和感は感じつつも再び会えたことの喜びや安心感からだんだんとその状況に慣れていき、いつしか本物と勘違いをしていく。やがて違和感全くはなくなり、ただの日常になる。

主人公・タクミの担任であるハナ先生は、他の生徒からも一目置かれており、演じる納葉(おさむよう)の空気感も素晴らしいので、良い人オーラが滲み出ていた。

そんなハナ先生がある日交通事故で亡くなってしまい、遺影となる。タクミは亡くなったハナ先生ではないアンドロイドに懐疑的で、はじめは冷たい態度を取るが、ふとした会話が生前したそれだと気づき、だんだんと遺影の中のハナ先生と打ち解けていく。

人は亡くなっても記憶の中で生き続けると言うけれど、それが実際にアンドロイドとして具現化されることで、違和感もすぐに日常になっていくラストは心地よくも少し切なくなる。

ハナ先生みたいな先生が良かったなぁと羨ましくなったが、よく考えたら自分にもあんな先生がいた気がする。ただ忘れているだけで。記憶なんて曖昧なものだから。あの頃を懐かしむ、良いきっかけになった。
けい

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