穐山監督に興味があって鑑賞。傑作でした。
この話を語るのに、現在の元アイドル俳優の中で屈指の実力を持つ深川麻衣を主演に据える事がまず鋭い。魅力と実力が炸裂しているし、井浦新・松浦りょう等の周囲のキャスティングも絶妙。テーマや演出法から大九監督を想起した。
生/幸せのあり方を規定してくる社会の圧力から解放され、自らのあり方へ一歩踏み出すシスターフッド、他者との邂逅の物語。そのシスターフッドを担う安希子と友人たちの造形と対比は、ともすれば物語の為の分かりやすいものにも見えてしまうのだが、生きた人間と感じさせる様に存在しているのが凄い。誕生日の一連のシーンに強く感動させられた。
おっさんの造形の「スロー」な部分が凡庸なのが気になった。軽井沢の野菜のくだりが代表する様なファストな都市とスローな地方的価値観の対比が意図は分かるが引っかかるものがありもする。