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哀れなるものたちのYossyHOMMEのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
何度「生」を奪われようと、また一から生き直す。
無垢な魂が放蕩と淫蕩を重ね、知と快楽を求める旅に好奇心という名のオールを握って着いていき、新しい世界が拓けていく。その過程で食に目覚め、性に目覚め、そして知に目覚める。ベラは生まれながらの科学者であり、博士がそうしてきたように、世界を知ると共に自らの身体での実験と観察をもって、人類(共同体)の進歩に貢献すべく突き動かされる。それは食・眠・性的欲求と同じく根源的な欲望なのだと。
圧巻、まさに圧巻。心震えるとはこのことか。"探求する"こと、"選ぶ"という行為の崇高さと気高さをこんなにも力強く、美しく、皮肉さを詰め込みながらも、奇矯かつ耽美な映像と音楽で生を祝福する、141分の人間讃歌。

私たちはもっともっともっと怒っていいのだ。そして、その知識と知性と経験をたずさえ、あらゆるものを吹き飛ばし、何ものにも支配などされず、どこまでも自由に突き進んで行っていい。「あなたの人生と身体は、あなた自信のものだ!」というシンプルなメッセージは観るものを鼓舞する。
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