せいけ

哀れなるものたちのせいけのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.8
どこを切り取っても美しい世界観にまずは圧倒される
フィクションであることを全く隠さない美術やカメラワーク、クラシカルでありながら遊びが効いている衣装と不思議な音楽使いによって、140分ずっと目と耳が喜んでいる感覚
それでも作品の中心にあるのは、エマ・ストーン演じるベラのコミカルでダイナミックで聡明な力強い物語
既成の倫理を吹き飛ばすようにあらゆる経験を経て成長する様は男性の女性への願望を打ち砕くように見える
ぶっ飛んだブラックコメディ調の前半と理性的にフェミニズムを語っていくストーリーテリングさながら、本能と理性についての映画なのかなと個人的には感じた
ベラの成長を急スピードでありながらも納得できるようにスマートに描いていて、ランティモスにしてはちゃんとした映画だと思っていたら、ラストでぶっ飛ばされた