のまたろう

哀れなるものたちののまたろうのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

フランケンシュタインオマージュで始まり、キャンディやバーバレラもかくやというセクシャル翻案アリスインワンダーランドを経て、聖書の引用を散りばめながら、痴人の愛みたいな中盤から今度はレベッカを思わせる展開になって……なのに、ずっと超ビザールでストレンジでゴシック!

悪夢のような美しさで、ベラの物語はピグマリオン的に女を支配しようとする男たち(前段で例に挙げた過去の名作はどれもそんな話だ)を置き去りにしていく。その姿はベラ自身が女性史そのものとして描かれているようでもある。

終盤、名の通り物語の神であるゴッドが死に、幼い頃ゴッドに抱かれていたベラが彼の瞼をおろす。被造物としてのベラの物語は終わり、人間としての物語が始まる。人間讃歌だ。
そして、最後の庭のお茶会(アリス!)で、2代目フランケンガールの成長や山羊になった将軍も描かれ、ちゃんととびきり残酷で滑稽で奇妙な物語のまま映画は幕を閉じる。
ここで終わったら完璧!と思ったところでエンドロールに入って、心の中でスタンディングオベーションでした。エンドロールもかっこよすぎ!

そして、微分音のメインテーマはじめ、劇伴が最高!帰り道、サントラ聴きながら帰ったけど、ずっと映画の中にいたくてふわふわしてたよ。
そしてそして、マーク・ラファロのクズイケオジっぷりも大好き〜!
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