ツクツクボーシ

哀れなるものたちのツクツクボーシのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.5
悪い悪い低俗萌えアニメと同レベルに欲望に忠実なご都合主義フェミニズムファンタジーを、巨匠となったヨルゴス・ランティモスが豪華でセンスあるビジュアルと行き届いた演出で映画化。前作「女王陛下のお気に入り」の片乳とは比べ物にならないほどの露出度と濡れ場の数々。個人的にエマ・ストーンで見たくなかったこともでもあるんだが・・。

そりゃそうとベースとなる元ネタは「リリー」「フランケンシュタイン」の現代版という感じ。だからコメディ・ミュージカル部門なのか。ほぼ踊っても歌ってもいないが。終盤の混ぜっ返しも、ある意味で想定内。設定を生かした結末の危険性は同性愛者へのホルモン投与やロボトミー手術を容易に想起させるもので、これみんな勿論分かったうえで褒めてるんだよね???監督のこれまでの作風を考えるとこれ肯定風の風刺や皮肉や否定にも見える。明らかに人間存在の愚かさや哀しみを時にバカにしているタイプの作風だった彼なのだからありうる話だと思うが。

そのぐらいこんなにモロで正直すぎる白人女性フェミニズムに甘すぎる設定と話でマジで大丈夫なのか?という感じ。フランケンシュタイン博士(怪物に本来は名などない)なゴッド(ウィレム・デフォー)が体現する父としての役割、存在の大きさがこのタイプの映画のみならず肥大していることも言及しておきたい。婚約者を切り捨てなかったことが一般男性観客の立場にも配慮した映画の懐の深さという感じ。
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