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哀れなるものたちのTOYOSUのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ヤバい世界観映画かと思ったら、非常にレベルの高い社会派エンタメ映画でびっくりしました。
事前の宣伝ビジュアルで、この映画がフェミニズム的な冒険英雄譚だとは全く想像出来なかった。知識のない主人公が、あるがままに女性を操ろうとする大人に導かれて外へ出て、経験し勉強し、最後には帰るべき家で待っている夫と結ばれる。と思ったらさらにもうひと盛り上がり。主人公が、幼年期→思春期→青年期と成長している構図と、出会いや舞台が一致して見ごたえるのあるドラマだった。
印象的だったのは、ラスト将軍との口論。激ヤバモラハラ夫vs生まれ変わって知性をつけた主人公。再対峙して過去の精算が結果的にできる構図は面白い。そもそも、「フランケンシュタインもの」「記憶喪失もの」としての基本も展開が全て抑えてて面白いなと。元夫がでてきたり、自分の出生の秘密を知ったり、2人目をつくっちゃったり。ただ、構成で言えば若干中盤長かった。
弁護士や元夫が、バクスターや若い医者と決定的に違うのは、前者は主人公を完全に支配しようとしており、後者は保護者的な視点で主人公を守っており、時が来たら旅に出させ、成長したら1人の人格として尊重している点。そんな親子達が最後再開したシーンは感動さえ覚えた。ヤバいやつには変わりないけど。
舞台設定が特に好きだった。ロープウェイのあるオーバーテクノロジーなリスボン、船の複雑感あるルック。ウェス・アンダーソン的なミニチュアルックを、さらに立体的に先鋭化させた感じ。魚眼広角レンズの多用も印象的。主人公の持つ内なる危うさが飛び出そうな時に、示唆的に歪さが演出されてて驚き。セットも広角で映されることで、その完成度が強調されてた。
でもラスト、あれでええんか???
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