あおちっぴ

哀れなるものたちのあおちっぴのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.6
継ぎ接ぎな世界観。
記憶もゴッドの顔もベラ自身も。
エマ・ストーンの演技と映像、ファッション、何より湾曲した世界観を見事に表現した音楽はぐうの音も出ないです。
あと個人的にマーク・ラファロ好きだから良かった。


ただなんだろ。個人的に受けなかった。
トレーラーやアカデミー賞情報から期待値が上がりすぎていたのかもとも。自分の産まれてくるはずだった子供の脳から蘇生して(させられて)世界中を旅して色んな思考に触れて…。伝えたいことめっちゃ分かるけどなんか違和感を感じた。
性とか哲学とか、理性とか、貧困の人々を目の前にしたときの感情とか。物分りが良過ぎないか?とも思ってしまった。人が未だに悩んで苦しんで答えの出ない思考に「なるほどこういうことね!」と直ぐ切り替えて次にいってる様で、だって中の脳は子供だよな?って。成長が早い設定なのかもしれないけど。その割にマーク・ラファロにさらっとついていっては「やっぱり私はここが一番幸せ」と戻ったかと思えば元旦那のとこに行くわといってまたゴッドの所へ戻る。クソ男が多かったけど笑 マーク・ラファロはたまにいい事も言ってたし、結構ベラも酷いぞ、って思った笑
ついこの間までカエルを殺せと言って潰したり、嫌なことは物に当たるような人が旅の過程で貧困層を目にして涙するところとか「んー、、」としか。

でもそんな肝心なことを周りが教えてあげてない、教えて貰ってないベラが可哀想とも思ったし「私はこの旅で自分の力で全てを学んだぞ」という感じでホームに戻ったように見えて違和感を覚えたのかも。
タイトルの意味が本人へも指しているのかな。ただこの違和感も戦略なら一周まわって見事としか言えない。
この映画を観た自分も色々考えすぎて頭痛くなった笑
もっと振り切っててくれたら違和感も無かったのかもだけど、ラストシーンの風刺的な演出は好きじゃない。元夫無理だけど動物と合成させて満足顔で座ってる姿はいけないよ笑
殺すよりしてはいけないオチだと思った。
若干フェミニズムの押し付けというか、旅して道徳を学んだはずの結果がラストシーン…「自分がよければそれでいい」の最たる画だった……。
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