さな

哀れなるものたちのさなのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

芸術的で抽象的な難しい映画だと勝手に思ってたけど、そんな事無くめちゃくちゃ面白かった

白黒だったり、空が渦巻いていたり、魚眼レンズになったり、出てくるものたちやゴッドがご飯時に吐く泡だとか
なんだか実写のようで実写じゃないみたいだった半分アニメの世界のようなそんな感じ
カメラワークや衣装や音楽も不思議な感じで好きだった
ファンタジーすぎないファンタジー
拙い映画知識でものを言うとしたら、ジャンピエールジュネ、ティム・バートン、ウェス・アンダーソンが好きな人は気に入るかもしれない
似ているとは感じなかったけど、好きな人は好きかも

冒頭に書いた通り、各タイトル(Parisなど)が出てくる時に後ろで流れている映像のようなものがずっと流れるような映画だと思ってたし、セリフももっと「観る人の自由」のような抽象的なものばかりだと思ってたので、とても楽しく観れた(タイトルの後ろで流れている映像は体調を崩した時に見る悪夢みたいで好きだったけど)
もしかしたら何かの暗喩が込められていたり、元になる神話とかそう言うものがあるのかもしれないけど、ただ子供だったベラが自ら世界へ飛び出して行き色んな人に出会い、悦びや知識や現実を知り人として成長していく物語だった
色々な人が出てきてベラに色々なものを教えたり与えたり(善悪ともなく)するところが、子供に読み聞かせる童話のようだなあと思った(ハリーポッターの三人兄弟の物語のような)

途中の船で出会うおばあちゃんと皮肉屋の男性がとてもとても好きだった
あの船で出会っただけの関係で、今後関わりは無いのかもしれないけど、きっとベラにとってあの2人に出会ったことは人生においてとても重要なことだったと思う
今後の人生に直接的に関与しなくても、大きく変わるような出会いってあるよね〜と思った

この物語がそもそも道徳から外れた行為から始まっているのだけど、
最後元夫の体にヤギ?の脳が入れられているのを見て、悪者とは言え良い気はしないな、胸糞悪いなと言う気持ちになった(アンチ意見としてでは無く、人間としての正常な感情、だと思う、、、)
でもそれを誰も咎めることなく、幸せに暮らしました、おしまい みたいな終わり方なのが、「哀れなるものたち」なのかなあ

あとゴッドがベラへの愛情を「科学者はそんなものを抱かない」と拒否していたのは、自分の父親が自分に愛情を抱いていなかったのでは?と思うのがこわかったからかなと思うとすごくさみしい気持ちになった

どんどん知識をつけて行くベラがかっこよかった
始まりからそうだったけど、自分がしたいことを分かってちゃんと選んでるのがかっこいい
物事を理論的に考えて、言葉で説明出来るのもかっこいい

正直、ベラが言っていることは綺麗事だと感じるし、途中の皮肉屋さんみたいな人が多い世の中だと思う
貧困層をみんな救うことは無理だし、ベラだって人のお金を(カジノで稼いだお金だけど、元はきっと何かしら努力をして稼いだお金だと思う)勝手に人に渡しただけだし「医者になる!」それで!?みたいな終わり方だったとは言えなくもない
でも予想してた程では無いけど、芸術性の高いような輪郭が少し曖昧なような映画だったので気にならなかった
上にも書いた通り、不思議で気味が悪いハッピーエンドだった

エンドロールもすごくすごく素敵だった!おしゃれで可愛くて、フォントも可愛くて、流れてる音楽も良くてずっと観ていたいと思った
劇中で流れてる曲たちも良かったからサントラがサブスクにリリースされることを祈ってます、、、

船のシーンが可愛くて好きだった!!バスルームのデザインが好き!!


追記
書くの忘れてたけど、ベラのダンスシーンが好き!
なんの楽器か分からない不協和音に合わせて踊るんだけど周りの綺麗な伝統的なダンスとは違って音楽に合わせて思うがままに体を動かすみたいなダンスが斬新で現代的で良かった
文化ってこうやって発展して行ったのでは、、?みたいな気持ちになった
さな

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