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哀れなるものたちのmoonのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.7
今年映画館スタートはこの作品にすると決めてた!!!!
他の作品同様異世界を覗き込んで見ているような魚眼レンズが印象的、そして全部カラーだと思っていたらモノクロを使用しているシーンが多くどういう意図で使い分けてるのか気になった。
不協和音の中に鉄琴やトライアングルのような高音が混じっていてベラの容姿は大人だけど中身は子供っぽいところを表現しているようだった。

芸術センス皆無のわたしでも目を奪われうっとりしてしまう衣装や腰まであるブルーがかったロングヘアがずっとただ者ではない空気を醸し出していてベラの行動や言葉一つ一つに不安を増幅させるかと思えば自由を得たいベラの性に対する行動がぶっとんでて、途中のダンスや会話で子供らしい場面もみせる。
気づいたらダンカン同様ベラという人物に魅力されっぱなしで彼女は一体なんなんだ???"普通とは"が話題になる世の中でもベラの中では全部正しいのだ、普通なんだ。と感じた。
まずいものを口から出すのも、泣いている子供に手をあげようとするのも、貧困な人にお金をあげるのも全部が悪いことじゃない。
世の中の人たちが自然と作り上げてきた普通をベラは私はこう思うの!と主張しているようだった。純粋なんだ彼女はきっと誰よりも。

そしてそこからベラの成長の糧になる娼婦の場面によるシーンがすべて凄まじかった。
キャサリン・ハンターの不気味な容姿がすごいいい味だしていて館の雰囲気も不気味なんだけど見てみたくなってしまう人の心理を利用しているような感覚だった。
意味をなすとR18指定でさえ芸術作品にみえてしまうマジック。
アウトな絵面と芸術は紙一重で観る人次第で捉え方は変わっていく。
このあたりでやっとこの作品に入り込むことができている感覚があり、旦那が登場してからの流れが最初から同じ人とは思えないほど知的で、経験値をあげたベラはエマ・ストーン圧巻の演技力だった。これは主演女優賞納得すぎる。

正直このような映画に耐久がなかったので終始意味わからなくて途中で飽きてしまったというか理解することを諦めた。
うまく飲み込みたいのに飲み込めない感覚。
でも決してマイナスな意味ではなくて私ごときなんかに分かるわけないという自分の中での区切りとして諦めた。
情報処理が追いつかなくてこの作品を理解して演技している演者さんたちに大尊敬。
人には説明できないけどすごいと言わせる作品をつくりあげる鬼才ヨルゴス・ランティモスが1番モンスターだった。
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