ぺいんぱっか

哀れなるものたちのぺいんぱっかのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
”Poor Things ”
鑑賞後のタイトルの意味の成し方がすごい

完全にランディモス版かぐや姫の物語
フェミニズムの皮を被った人間賛歌

前衛的でアートなSF感のある映像、
場面場面のまさに不協和音な劇伴、
成長過程の社会主義的な理想論へ傾倒する様子、
何か丸みを帯びた閉塞感・歪さを感じる撮影方法などなど

アングラな雰囲気でありながら普遍的なテーマを扱った全てが俺の好みの作品。

これでもかってくらい熱烈ジャンプシーンが盛り込まれてるけどこれが自分合わないって思ってしまってる人がいるのもわかる。とはこの映画に関しては言えない。
なぜ”良識ある社会”ではありえないシーンがこれほど存在しているのかの意味を今一度考えてみて欲しい。

あとこれが1番言いたい事
結局ずっと縛られてるのに最初のシーンだけ白黒なのは辻褄が合わないとか言ってるアホに向けて、
恐らくベラは冒険をしなくてもマックスと結婚して、ゴッドの跡を継いで医者になるのは既定路線だっただろう。ただそこにベラ自身の主体性は無いわけで、そら心境は白か黒にしかならへんよってわけ。
支配からの脱却ってよりは主体性(自我)が目覚めたのちのベラ自身が選んだ人生を通して見る視点。哀れではあるものの色鮮やかな世界ってことよ。たぶんね。

就活してて最近、親への会社説明会をする会社が増えてるらしい。なんかリアルタイムで通づるものを感じたからメモ

最後のシーン、ベラの横には悲観的なリアリスト黒人の男友達ではなく、旅で出会った社会主義者の黒人の女友達がいた。
人生に無駄なことなんてなくて
世界を見て現実を知り、自分の限界を知ったけれども、理想を願うというか。変な達観せず世界に希望を持ってるのが良かった。