Naoki

哀れなるものたちのNaokiのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
愛するランティモス監督の最新作
『哀れなるものたち』

相変わらずの現実離れした世界観と、超現実的な哲学と風刺、奇妙すぎるカメラワークと演技。不気味なものが揃いに揃って組み合わさったら不思議でピュアな成長物語ができましたというような仕上がり。

ホラー映画よろしくの改造人間である主人公が、醜い部分だけ凝縮した資本主義と男性中心社会にピュアな好奇心で土足で踏み入り、その”良識ある社会”で悠々と生きる人間を無邪気にオーバーキルして文字通り再起不能にしていく物語。

痴人だと思って舐めてた主人公が、実は最強だったパターンの王道プロット。

御伽話や神話のような空想的世界で、酒とご馳走とイカれた踊りで金持ち道楽を主人公に楽しませたと思ったら、今度は哲学書を読ませ社会主義的な思想を身につけ自暴自棄になったりする。主人公の人格変化が激しすぎて、エマ・ストーンの演技が本当に素晴らしいなと思う。

加えて、衣装も素晴らしい。石岡瑛子さんを彷彿させるような古めかしい貴族衣装のような豪華さと、デヴィッド・ボウイのステージ衣装のような近未来感がどちらもある。全てのカットが美しい。

最高でした。
Naoki

Naoki