カツヤ

哀れなるものたちのカツヤのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

自殺を試みるも、外科医により自らの胎児の脳を移植され蘇生した主人公の成長物語、という気味悪設定のファンタジー映画、エンドロールのあいだニンマリしてしまうような作品だった。よかった!
父(God)から生を与えられ、男性たちの間をバトンのように交換され続けたベラの着地点が絶妙だった。自らの足で経験を積み、父と過ごした家に自らの選択で戻り、マックスと共にというよりもより規模の大きい疑似家族的な関係を築くこと。自らの身体と精神に対する自己決定権。
文字通りの娼婦になりながらも、男性が女性を選ぶのではなく女性が男性を選ぶことを主張するなど、完全にフェミニズムを意識した
「お前は私の領土だ」と嘯く(元)夫から銃を奪い取り、その足を打ち抜き挫く瞬間、その関係性の中で彼女は彼と自分の境界線を定め、自分は自分自身の領土であることを主張する。売春宿での性的描写の数々も、男性による性的妄想なんかではなく、女性を聖母か娼婦かで二分にしたがる男性の視線に対する強烈なアタック、そして女性のリプロダクティブ・ライツへの言及だと思った(とはいえ彼女はあくまでも妊娠・出産の話とは無縁であったようにも思えたけど)。一緒に観た友人は、非論理的でヒステリックな存在として男性より下位に置かれがちであった女性が(より老年の女性に助言を与えられながら)知識と論理で男性たちを負かすのもよかったと言っていて、その通りだと思った。
一方、主人公に気づきを与えるための貧民たちという立ち位置が気になった。女性であるというマイノリティ性を抱えていながらも(てか頭を胎児と取っ変えられてること自体あり得んマイノリティなんだが)、あくまでも裕福な白人女性としての体験しかしていない彼女が気づきを得て成長するための人びと。あとはハリーもトワネットもなんだかマジカル・ニグロ的だったように思う。
あとは、エマ・ストーンの演技も最高だったけど、ウィレム・ディフォーもマーク・ラファロもキュート!素敵なメンツだった。

【メモ】
ドルビーシネマすげ〜
カツヤ

カツヤ