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哀れなるものたちのEditingTellUsのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.8
人間の本質というか起源というかそういうものを下敷きに現代の社会問題を風刺している。

哀れなるもの
たくさんの哀れなるものが出てくる。
1番とっつきやすいのが見た目
平均から逸脱している=哀れなるもの。
そして集団を形成した時に生まれる
社会性が低い=哀れなるもの。
そのアンチテーゼ
自由を奪われたもの=哀れなるもの。

全てを手に入れることは不可能で、社会が変化するしか哀れでなくなる術はない。
この映画は社会を変えようとしているのか。
一概にそうとも言えない。
人間と動物を隔てるものは、脳か魂か。そこを描いているということは、社会派の映画というよりも宗教に近い。
人間創造した神を中心に描かれる宗教画には男性と女性を明確に区別する性器が暗示されるものが多く描かれる。
それと同様、もしくはより直接的にこの映画にはゴッドと性行為が描かれる。
キメラを易々と作り、人間の身体をいじりたおすゴッド。脳をいじられ、精神年齢が肉体年齢に遅れをとるベラ。
面白いとか面白くないとかそう言う次元の話にとどまらないのは確かだ。

偶然なのか坂元裕二が原作を読んでいるのか、
豚の脳みそを入れられた人間は人間?という子供の質問が鮮明に残る「怪物」
ヤギの脳みそを入れた人間を作り出すゴッドはモンスターなのか「哀れなるものたち」

この映画が日本でここまでヒットしているのは、アリアスターのおかげか。
カルト的人気とかのラベリングがつきそうな映画なのに、SNSで観たことを一種のステータスとする時代。
オタクに憧れを持つ時代。

The Favouriteからの超広角レンズは代名詞となるのか。レンズの利用範囲はかなり広く、ズームレンズも多用する。
ブロッキングというよりもコンポジションでアトラクションを作っていく。

時代にあっているかどうかでいうと、個人的にはtoo muchだと感じてしまった。包み隠さない潔さはあるが、隠している人をもっと対比的に描いてほしかった。
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