ゆうき

哀れなるものたちのゆうきのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
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“poor things”という原題に対して
「哀れなるものたち」という邦題。
ちょっとした差異を感じていたけれど、
視聴後は「もの」=「物」/「者」
とも捉えることができて、
解釈に幅を持たせるための
粋な翻訳のように思われた。
掛詞ってすごく便利。

ベラの姿を見ると
何となく楊貴妃が思い起こされる。
他と介する彼女に惑いながらも
その美しさとある種の異質さに心奪われ、
破滅へと向かう男性の存在。
元々放蕩に耽っていたダンカンが
ベラに振り回される様子には
少しばかり興を感じてしまった。

ベラの冒険心は単なる興味ではなく、
彼女の言う「進歩」への第一歩であった。
当初、動物的・本能的であったベラが
最終的には自身の中に新たな境地を拓く。
倫理、道徳、社会良識など
世界規範に留まらない知見を得た彼女は
今後どんな人生を歩むのだろう。

そして、エマ・ストーンの怪演ぶりには
本当に驚かされた。凄すぎる。
ゆうき

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