Odora

哀れなるものたちのOdoraのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
記憶違いじゃなければ、移植された赤ちゃんの性別って名言されてないですよね?

とすると…ベラって勝手に女性の身体に移植されたから女性として見ていたけど、そうとは限らないのかな…

って思い始めると
結局マッキャンドルと結婚したかどうかも分からず仕舞いだし、最後隣にいたのは娼館で出会った女性だし、その辺りを見せてからEDに。
EDには音楽が流れず環境音と絵や写真のみ。考える時間をくれてるみたいだった。

ジェンダーの問題に対しての問いかけとして、凄まじい作品なんじゃないかな。
明言せず気づかせるようなカタルシスを与えてくれる作品として。そもそも誰かの性自認なんて他人には分からないという視点としても組み込まれてるとしたら構造的に上手すぎる。

精神が成長していく過程を描く実験としても素晴らしくて、身体が大人になった今、精神が子供の部分が誰しも残っていて、身体の成長や年齢だけが肥大化していくような感覚がある中で、ベラは大人の年齢に精神が追いついていく。そしてピッタリ合わさったように見える。
そのきっかけが、マーサやハリーとの出会い。本や哲学を学んだ上での、現実の凄惨な部分を知っていくことだった。
ここも好き。
人との関係性の中で心が成長していき、これまでの道のりが間違っていたように見えたり、スタート地点への見え方が変わっていく。
たどたどしいエマストーンの演技もとても良いし、画面の色彩も綺麗。ギャグもシリアスもグロも性描写もあるけど、成長を描く2時間21分という時間には必要なものだったしおかげで退屈にならなかったとも言えて効果的だなと思った。

上映には外国の方もたくさんいて、コメディ部分の笑いどころが違っていて興味深かった。

たぶん今年観る映画の中で一番が決まってしまったかも。もっと早く観ればよかったな
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