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哀れなるものたちのyukiのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

万人におすすめできる映画では無いけど、人間や世界の在り方を滑稽に描いていてとても良い映画だった。現実離れした色の空や建物は美しく、音楽もアンビエント風で心地よく映画館で見てよかった。
ただ18禁シーンが食後ほんとに気持ち悪くなった。グロよりオッサンの身体と、グルーミング行為が多分そうさせた。ただそういう不安定さも込で、この映画の良いところではあると思う。

ヨルゴス・ランティモス監督特有のズームアップの手法も、キモさを引き立たせる。聖なる鹿殺しで感じた緊張感と同じ。

衣装がどれも独特で、次はどんなのが!?と楽しかった。衣装デザインしたホリー・ウォディントンのインタビュー記事をginzaにて読んだが、スキャパレリ、クレージュ、パコラバンヌのような、20世紀の女性の自立を支え、華やかに彩ったデザイナー達を参考にしたそう。特に1960~70のビニール素材などを扱った未来的なデザインをよく目にしたそう。
例えば、ウェディングドレスは、大きなパフスリーブにシルクに包まれたナイロンのチューブを使用して大きいながら軽く膨らんだ造形を作り出しているらしい。

また、白黒シーンについても、キャラクターごとに同系色の衣装を用意していたから、モノクロになると全部グレーにしか見えなくなってしまうので配色に注意して作られたらしい。

私は社会主義ではないが、どんな職業でどんな生い立ちであっても人としての権利は守られ、自ら稼いで勉強し好きな時に外出しどんな思想を掲げるかは自由でなければならないと思っている。だから最後の復讐の結果で、あぁここにいる人も私達もみんな、失敗しては反省を繰り返し成長していく「哀なる者たち」であることを忘れてはならないな…と思った。
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