でぃぐどりお

哀れなるものたちのでぃぐどりおのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
こりゃまた異質だ。異質なものって
なんでこんなにも魅力的なの。
なーんて美しいんだ。
映像、衣装、音楽、どこを切り取っても
美しい。
美術館でさ、良くあるじゃん?あの時間。
何かは分からないんだけど
とてつもなくメッセージ性が強いであろう
作品に出会ってしまって、釘付けになり
そこで長時間佇んでしまう瞬間。あの感覚。
…美術館行ったことないけど。
映画ってそう捉えるのも醍醐味だと思う。

レビューを浅く書いてしまうのも
腑に落ちないから
噛みきれてない部分を噛んでやろうと
もう一回映画館に足を運んでやろうと
考えてる矢先、この作品の背景まで
調べてしまって、より自分にとっても
巡り会えて良かったと思える作品だった。
どうやらイギリスの小説家
メアリー・シェリーが執筆した
「フランケンシュタイン」を基にした
作品みたいで。
それは人造人間の成長の過程。
我々のような人間でさえ
赤ちゃんから大人になるまで
スクスク成長する過程を見れるだけでも
面白いってのに、作られた人間だと
また違う観点で見れるのが面白いと思った。
後この映画を見て
芸術ってほんと自由だなーって思ったことが
強く残ってる。
芸術は繰り返し、かつ表現は無限大。
それを作品として世に残し続ける
人間という生き物の執念深さが
たまらないよね。
そしてなんと言ってもベラさんよ。
成長していき、哀れゆく中でも
愛を授かった分、人を愛する決断した
心の逞しさ、揺るがなさ。
無色を少しずつ彩っていく人生。
哀れは哀れに変わりないけど
善悪で判断するものではないし、
善悪の存在すらまた考えてしまった。
哀れって卑劣な言葉なの?どうなの?
そして、結局愛しか勝たん。のラストに
只々三十路目前の俺感動オヤジ。
と思いきや、自由がなかった分
実は「支配」を望んでいるのでは?と
思わせるハッピーセットまで付いてて
無事我、心踊り狂わせ、
また見に行きたいと思っちゃったね。