リゅゅせい

哀れなるものたちのリゅゅせいのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.8
まず前提として設定が面白い。母であり、娘である。ありそうでなかった設定。
んで、世界観が不思議で楽しい。魚眼レンズとかズームする技術も関係してくると思うけど、ぐーっと画を凝視してしまうポイントがすごい。街もありそうでない建物ばっかりで、絵の具に塗られたようで、ジオラマの中みたいだった。

音楽も不協和音ながらどこか耳心地が良くて、映像を音で表現する力がすごい。

そこに完璧なキャスト。文句なしの配役じゃないか?エマストーンの幼児の動きすごすぎる。ウェレムデフォーの顔まじで唯一無二すぎる。マークラファロのシリアスな場面の切り替えのメリハリ気持ち良すぎる。

内容は全体的に肌色が多かったけど、この映画の見どころは全くここではない。生から死まで、冒険を経て、何を学び、誰と関わっていくのか。医者になる人生も、娼婦になる人生も、その人の価値観を見出せたのならそこに差なんてない。

自分は今まで真面目に生きてきて、それが生きていく上で正しいことであり、何も考えずのほほんと過ごす人生なんて、人として生きる上で勿体無いことだと思っていたけれど、その考えはこの映画を見て捨てた。

できる限り過ちを犯すことなく生きていくことだけにフォーカスしてたけど、もっと道を外れてもいいのかな。冒険した方がいいのかな。

最後あたりのシーンで久しぶりに"死"を恐れてしまってすごい息が上がってしまった。
年老いてしまう前にもう一度この映画を観る。
リゅゅせい

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