Ayaka

哀れなるものたちのAyakaのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

初めまして、ヨルゴス監督。女性表象(有害な男性表象)と人間発達の女性目線が、ヨルゴス監督の手にかかるとこうも表現されるのかと衝撃的だった。

過去経験を省みるようで、個人的に大切な映画に。普段よりも更に参考にならないレビューです。

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世界を知り知性を身に付けていくことで、自立していく主人公女性ベラの様がとても美しい、知性と社会学の映画。
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家具の一つをとっても美しく可愛い装飾空間、そして建物。閉鎖的でモノクロに描かれていた冒頭、ベラが性に目覚め、家を出て冒険に踏み出すと、一気にカラーに変わるシーンは印象的だった。そして、能動的に選択して自分を解放していくと、ファッションも解放的で色に溢れていった。

繊細で魅力的な色彩・映像感覚と不協和音を含んだ独特な音楽の奇抜な世界観は、いつの間にかクセになっていて、エマ・ストーンの演技に飲み込まれていた。約2時間半の旅路はあっという間で、エンドロールまで凝りに凝っており監督の拘りぬいたセンスを楽しめるものだった。

自分の哀れさとも向き合い、また直ぐに映画館で観たい!と思った映画は初めての出会いだったと思う。それと同時に、私自身の抱えた感情を鑑賞後時間経過とともに爽やかに昇華してくれており、なんとも言えない感覚に助けられた映画だ。そして振り返った時に、ベラのお陰で自分の選択を肯定し、1月ありがとうと思えることができた。このタイミングで観た自分グッジョブ!この映画に携わる方々に心からの感謝を。

・好奇心は猫を殺す
そんな教訓を得た近頃であったが、ベラを通じて「好奇心とは」を問われた機会でもあり、自分の好奇心に素直で在ることは素晴らしいと、そっと寄り添ってくれているようだった。
好奇心とは、未知のことに興味を持つ心であるが、向ける対象とベラのような純粋な好奇心の感情であるか否か俯瞰すること、と教訓に付け加えた。また、分かったつもりになって思考停止をしたり、無知のままで止まったりするのではなく、どこまでも自分の感覚をもとに思考を繋げていくこと。それが強さや個性になるのだと再考した。

・男性の弱さと女性の強さ
脅しや説教、支配をしてくる男性に屈せずに自分が思ったことを素直に語るベラ。そんな彼女を通して見えてくる、有害な男性表象の滑稽さや愚かさに笑わずにはいられない。映画館で声をだして笑ったのは久々だったと思う。そして、その描かれ方はラストまで最高(ラストはベラの優しさであると受け止めた)!

ダンカン:ナルシストで自己中心的、女性蔑視で所有欲が強い。
前夫:威圧的で、死を見せしめようとしたり家父長制的な権力によって他者をコントロールしようとする。
Ayaka

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