月野

哀れなるものたちの月野のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.1
世間のことを何も知らない痴人(幼子)から、何事も自分で判断し選び取っていく知性ある女性への変貌がシームレスすぎて演技力えぐぅとなった

所有されることを甘受しないベラ、という構図がいわゆる新時代の女性の在り方的にフォーカスされているけど、最終的にベラに選ばれたマックスは2度もあり得ない裏切りを受けている。相手を縛らないことというのは縛られない側の視点からすると当然の権利のように映るけど、縛らないためにもう一方がどれだけの苦痛と忍耐を要するかということも感じさせられたし、男性だろうが女性だろうが思いの強い方がそれを強いられることは変わらないのだと思った

そして「私たちの現実的な愛が好き」っていう言葉もすごく印象に残っている
甘くて夢心地な恋は結局最後には破滅してしまって、落ち着いた話し合いのような愛しか長くは続けられないんだな

途中までベラが言っていた人間は良くなることができる、関係は良くなるという言葉は私がいつも人生を生きる中で心のどこかで信じてしまっていることだけど、成長していく途中でベラがそういう言葉をだんだん言わなくなってなんか少し突き放されたような気持ちになった
月野

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