銀鮭

哀れなるものたちの銀鮭のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.4
20240521.原作小説読後
映画といくつか違うが、特に結末が違う
原作は、この物語はアーチボルトマッキャンドルスによる創作であり、ベラはアーチボルトを軽蔑している、という終わり方である

どうかと思う
映画の結末の方がこの物語の結末としてしっくりしているように思える
映画がこの物語の完成度を高めたとも言えるだろうか

原作の方がゴドウィンバクスターをより高潔に描いている印象。また、ゴドウィンとベラとアーチボルトの友情は、小説の方がよりよく描かれていたと思う

原作だと、ベラは晩年ヴィクトリアと名乗ったとか。生まれ変わる前のオリジナルの名前だね

映画観賞後
ギリシャ人監督の映画は初めて見た
国・文化が違うと映画も随分変わる
船で出会った黒人男性に
ベラが、あなたは悲しみを乗り越えられない少年のようね、と言った台詞が印象深い
ゴッドが、父は、人をメスで切開する時は慈愛を込めて切れと言った、という台詞も印象深い

哀れで残酷な世界だが、サバイブし、慈愛を持って生き抜け、というのがこの映画のテーマかなと思う

セックスと売春がクローズアップされて、このテーマとどう関係するのかなと思ったけど、束縛は愛じゃないし、したとかしないとかが愛ではないだろということか

撃たれた将軍がゴッドの館に運ばれて、羊が一瞬抜かれて、羊の脳みそを入れられるのか、ガンのゴッドと入れ替えるのか
ゴッドが復活してみんなで仲良くくらしましためでたしめでたし
じゃなかったね
科学のちからであんまり無茶をしてはいけないというメッセージかと思う
ひとは死ぬべき時に死ぬべきなのだ

撃たれた将軍を、そのまま捨てておけばいいのに命を助ける
どんなに哀れで腐った人間でも、汝殺すなかれ
愛なのである
そこがベラの行き着いたところなのだろう

成長物語でもあるよな
最初に食べるシーンがよく出てくる
食欲
眠るシーンも多い
睡眠欲
そして性欲
欲望に正直であれ
社会規範による束縛からの解放
自由こそ至高
そういうことかな
銀鮭

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