SORA

哀れなるものたちのSORAのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

彼女のように生きられればどんなに楽になるか。…でもどうして私はベラのようには生きられないの?
っとふんわり思考がそこに行き着いて、『あぁそうか。彼女は社会通念や性役割といったあらゆる無言の圧力から解き放たれた存在なのか』と気づいた。
自由な彼女を絡め取ろうとしてくる男性達から軽やかに、かつベラらしくすり抜けていく。鑑賞後の解放感と私の中に芽生えた新たな価値観。考察する箇所は数多あるのに、それよりも不思議と生きていく中で背負ってきたものを払い落としてくれたような、憑き物が落ちるような軽快な気持ち。もっと自由でいいんだ。
フェミニズム的な映画は、性の不自由さの中で藻掻き、葛藤する様を描き出されることが多い気がするが、この映画は私に自由さを教えてくれた。ベラのように軽やかに己の心に忠実に生きていいんだ。そうか。



追記
愛するという行為が歪んでいるのに気づかない人は大勢いる。愛される自身がないから自分以外の世界を遮断するもの、あなたを尊重すると言いながらその実あり得ないほど束縛してくるもの、無知で幼児的な可愛らしさと純粋さのみを求めてくるもの、知的で自立心に溢れる人間を遠ざけ見下せなくなった途端に愛せない者、無邪気で純粋に飛ぶものを撃ち落としたくなるもの、性行為を独りよがりなものだと捉えておりそこにある種の幻想を抱いているもの、暴力と権力で支配する者、己以外のものは全て劣っていてそのための理由を捏ち上げて他者を虐げ続けるもの…。
私が今までの人生の中で感じた、モヤモヤ、悲しみ、怒り達が、この映画のお陰で昇華できるかもしれない。

ところで、モノクロからカラーになった所はベラが親からの自立したことと、性行為による少女から女性への変化の現れ?それとも脳と体の一致なのだろうか?
SORA

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