いど

哀れなるものたちのいどのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.9
まあそりゃアカデミー主演女優賞取るよなという演技だった。
綺麗な物語風のビジュアルやカメラワークだったけど内容はそれに反してヘビー。
常識や社会通念に捉われずに自由に生きるベラとそれに翻弄される周りの男たち。大勢の前で振る舞うべきマナーの話は置いといて、フェミニズム的な見方をすると、ベラの奔放な性の問題に男性が囚われるのはフラットに見て奇妙に思われる。男が100人抱くのはいいけど女の人は淑女であれと。
そのような問題提起をしつつ、最終的にベラの好奇心は性欲よりもマズローで言うところのより高い欲を満たそうとし始める。最終的には自身がされて嫌であった人体実験まで施すあたり、科学者の倫理観も問われるような内容だった。
総じて無邪気な欲望を肯定してるわけではなく、社会通念や常識の大事さを痛感させられる内容であった。だが途中でハリーも言ってた気がするが宗教、社会主義、資本主義どれを取っても完璧な社会なんてないのもまた現実。臆病な子供の見方だけど。ベラも含めて我々全てが哀れなるものかも知れない。
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