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哀れなるものたちのsのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.5
すばら………すばらし…………

これは幸福のラザロのときにも書いたけど、タロットカードの愚者のように何も知らないほうが幸せなんじゃないかと思うことがある 自分を棚に上げたようだけど、もっと鈍感だったらどんなに生きやすいんだろうかとも思う
生理現象を知り、外界を知り、身体を知り、知を得て、社会を知る そこに確かに在るレイヤーと自分の特権性とその逆を知る 快不快を知り、人とどう関係を紡いでいくかを知る

マナーなど関係なく自由に遊んだドレスの着方からアカデミックなドレスになっていく衣装の過程が良かった、両方素晴らしく素敵です。グレーのソックス欲しくなっちゃった

教育がない世界で道徳や常識が得られなければ、ベラと私達に大差はないと思った 人間が出来上がってく過程と世界の認知を、こんな奇妙なアイデアで見せれるの、すごいよ…
殺すぞって脅されてそりゃあワクワクするわね!と切り返せる老人に私もなりたい 本捨てられてすぐ本渡すところ最高 どんな社会的地位や暴力や特権も知力には敵わないという象徴

元祖ティムバートン好き人間はアートワークと発想にしっかり殴られた 画角の隅々まで意志を感じたので、これ持ってこられたら美術面じゃ勝てないぜ…となった(オスカーの話)インサートがいちいち素敵で…

それでいて、あんなストーリーを描いてる中でオスカーであの態度なのが二重に皮肉でがっかりなんですよね。ベラは結局、元あるレイヤーに戻っていったようにも思う だって彼女はいるだけで人を振り向かせるほど美しくて、ゴッドが驚くほど知能が高いから 元々かなりのものを持ってる人で、その上舞台がイギリスで、というのが、なんかあのオスカーのステージ上で全部再現されてしまったように感じたんだよな

こういう目線で作品を見ることは非常に大事だし辞める気は全くないんだけど、作品への純粋な感想じゃ無くなってしまうのはそれはそれでどうなんだろうか、と怪物の鼎談を読んで考えている
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