服や美術がめーっちゃかわいい！
モノクロだった世界に色がついてく演出もよくて、ゴッドが泡を作るシーンがなんだか不思議でよかった。
私がランティモス好きな理由のひとつに、性行為をロマンティックなものとしてではなく事務的なものとして描いているところがあるのだけど、それは今回も健在だった。なんというか、ベラはたんに気持ち良くなるために性行為をしているのでそこに意味を付与していないのが愉快でよい。私はアセクシュアルなんだけど、ランティモス作品はアセクシュアルでも安心して見れるんですよね、なぜか。
個人的な話として、ランティモス作品はいつも自分がその時抱えている課題に寄り添ってくれる。ちょうど偶然にも、なんだけど。「ロブスター」を見た時は実際に私自身、性の対象として見られるのが嫌という気持ちと恋愛嫌悪が高まっていた時期で、だけど信頼できる相手はほしいし実際いる、というところに折り合いをつけられなかった時。そして、その当の相手が私と似ていないことに苛立っていたときに見た。そして愛や性、恋について考えた。「女王陛下のお気に入り」は、大事な人をこちらの疑いや不信によって失いかけていた時に見て身につまされた。「哀れなるものたち」では、ベラやゴッドは普通であれば「愛がない」「人間味がない」と見られがちだけどそんな彼らがむしろ見ている間に一番愛に溢れた、周囲の個々人に理解あるキャラクターに思えてくる。彼らになんとなくアスペルガーである今のパートナーに近いものを感じていたので、やはり自分たちを見つめ直すきっかけになった。
