せきとば

哀れなるものたちのせきとばのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.7
ビジュアル全部最高、胎児の脳を移植するふざけた設定で大人と子供を常にオーバーラップさせる構造の複雑化と物語の展開も見事。めっちゃデッドな音鳴りのサントラは囚われた世界をテクスチャで完璧に表現している。ラストシーンの音の拡がり方にゾッときた。

「アルジャーノンに花束を」の結末とは違う、知性と共に理性や感性がスパークし続けていく興奮に、それらを存分に使って欠陥だらけの世界と生きていくこと、SFに求めていた現実に対抗しながら現実を前進させていく素晴らしさが詰まった珠玉の作品。

やるせないことが多い現代においても、俺たちが絶望の上で生を躍らせる限りこの世界の色彩は輝きに満ちている。
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