Ron

哀れなるものたちのRonのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
最''狂''映画。本気で全てが狂ってる。頭おかしくなる。上映終了後、とんでもないものを見てしまったという絶望感とこのような作品を自分が産まれてきた時代に見れる事への幸福感。2時間半ずっとおかしい事だらけで目が離せないずっと面白い展開しかない。ここまで感銘を受ける作品は中々出てこないしアカデミー賞受賞も文句無しですわ。個人的にミッドサマー以来の、ヤバいもの見ちゃった…という喪失感がたまらなく快感。正直興奮しすぎて今は息がしずらいという状況になる大傑作です。

最初は妊婦の女が自殺するところから始まる。最初からパンチ効いてる。
自殺した妊婦(ベラ)を外科医のゴットが妊婦の脳取り出し赤ちゃんの脳と入れ替え、ベラは身体は大人知能は赤子という状態から冒険し成長していく物語なんだけど、逆コナン設定ってありそうでなくて面白すぎる。

ハンニバルでしか見たことねーよ!ってくらいグロい頭パッカーんからの脳取り出しからの移植シーン。脳刻んでるシーンもあるしハンニバル以上のグロさ、いや、ここ数十年でもトップを争うグロさです。プラスで身体切り取ったり解剖などもあるので…

また「犬鶏」「豚鶏」といった、犬の顔に鶏の身体を合体させたみたいな本当に気色の悪い生き物が何回か出てくるし、当の本人は自分が何をされてるのかも知らず元気に駆け回ってるからこの世界線の狂気加減を直に感じれる好きなポイント。

今までずっと白黒映画だったのが、ベラがセックスで得る快感から鮮やかなカラー映画に変わるシーンは、メメントを感じて面白かったです。

この作品は要所要所に過去の名作を意図的に織り交ぜてきてる感じが映画ファンとして楽しめる。舞台もすっっげーお金かかってるんだろうなぁと言うくらい綺麗で煌びやかで豪華。あと空の色が、水色とピンクだったりドオレンジだったり現実味がない色が印象的。

最初は赤子の脳移植で知能赤子だったベラが色んなことを経験し、どんどん大人びて強い女性らしくなっていき、難しい単語を覚え喋り方が変わっていく姿にエマストーンの演技力の高さを感じます。

ベラは婚約した後、遊び人のダンカンが出てきて2人で駆け落ちしちゃって、ずっとセックスばかりしてるから、うわーこいつヤり目的やーん最悪って最初はなってたけど、ベラに美味しいもの食べさせたり社交会に何度も連れ添うし旅も沢山して豪華クルーズにも乗せてって…やり目愛人にしては尽くしまくりで、いい男かもしれないと思ってしまった笑。

娼婦になったベラの元にやってくる客が鳥肌やばいくらいきっっしょい男しかいないのが映像病みポイント。男というより妖怪。

ベラはどうやって産まれたのかなんで自殺したのかを知り絶望に陥り、その直後生前の夫がやってきて、支配的かつ残忍な夫にまた縛られる。でも結末はベラはゴットのいた屋敷で婚約者と娼婦の時仲良しだった黒人と暮らし医者を目指す、生前の夫は羊になっていて…という終わり方が非常にスカッとジャパンでした。
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