すー

シチリア・サマーのすーのレビュー・感想・評価

シチリア・サマー(2022年製作の映画)
4.3
全体を通してとても心の動きを丁寧に追っていく映画だと感じた。

主人公2人の心の動きに関してはもちろん、周りの登場人物たちにもしっかりと焦点が当てられていたように感じた。

ここでこの人は一体どんな気持ちで、何を思っているんだろう、という長尺のシーンが多く、鑑賞者に考えさせる時間を多くとっていたように思った。
この人は今、何を思うのだろうと考えるところが多かった。

ニーノとジャンニ2人が出会い、仲を深めていく中で相手に対する気持ちを言葉にして伝えるシーンはほとんどなく、全てが行動やしぐさに溢れ出していてきらきらしていた。

お気に入りの川にで花火についての話をする時、ジャンニは楽しそうに話すニーノの表情しか見ていなくて胸が締め付けられた。

2人を取り巻く世界はひどいものではあったけれど、2人の世界はどこまでも真っ直ぐで永遠だったと思う。
観終わるとほんのり優しい気持ちになるそんな映画だった。
だれかにこれを話したい!勧めたい!というよりは、自分の中に大事にとっておきたくなるような作品。
すー

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